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 第2回    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    JANUARY 2001VOL.3 
 『黒杭』って何?

 今夏ドイツ(ハンブルグ、ベルリン)でプレーする機会がありました。名門ハンブルグG.C.−ファルケンシュタイン−でスタート前にメンバーの方から、「ドイツには特別のルールがあります。そのエリアに入った場合は、無罰でドロップして打って下さい。そのエリアは『黒杭』で示してあります」と言われました。半分何のことかわからないままスタートしました。コースに出るとその意味がよくわかりました。自然保護の精神なのです。フェアウエイの真ん中にこけの一種「エリカ」が群生しています。その中に打ち込んだボールは、探すことも、取りに行くこともせず、無罰で打つというわけです。
ドイツの自然保護の考え方のあらわれです。
 同伴の英国に永年住んでおられる日本の方が「イギリスには『黒杭』はない、どんなラフでも、ヒースでもボールは探すものだ」と言われていました。
 <あくまで自然あるがままにプレーする>イギリスと、その精神は貫きながらも自然保護をさらに優先する<自然と人間が共存する>ドイツに感心したものです。
 一方、日本ではコースが人工的であり『白杭』が多く、特設ティー・特設箇所が随所に設けられている点を比較したとき、もっと「本物」志向でありたいと思うのは私だけでしょうか。


FW中心の自然保護エリアと黒杭(中央下)

近づくと美しい「エリカ」が群生
 The PGA Club

 日本プロゴルフ協会の下部組織、「The PGA Club」の会員として、フィリップモリスチャンピオンシップで「マーカー」としてボランティアに参加したことがあります。「マーカー」とは、各ホールのストロークを数え、グリーン端にある端末からインプットして本部へ連絡し、18ホール終了後、アテスト室で各選手のスコア確認に立ち会うことなどが役目です。
 選手、キャディなどと私たち8人だけがロープの中にいて、ギャラリーからみられる(?)立場に大変貴重で興味ある体験をしました。そのなかの二つを紹介します。
 中島常幸、尾崎直道、田中秀道、B.ワッツ、F.ジョーブなどのマーカーをしましたが、一口に言って日本選手はあまりにも真剣すぎて余裕が無い。外国人選手は真剣ではあるが、リラックスしておりユーモアに富んでいる。私が端末にスコアをインプットしていると、ワッツが私のお尻のポケットに使用済(プロは3Hでボールを変えるようです)のボールを入れながら、“good job”と言ってさらりとウィンクをして、ティーグランドに向かって行きました。
 もう一つは、携帯電話です。3番ホールで中島プロがバーディパットをしようとしたとき、ケイタイが鳴りました。そのギャラリーは、そのまま話し出したのです。中島プロは、「すいません。やめてください」と言い、アドレスをときました。中年のおじさんは、話し続ける。私は必死で飛んでいき、電源を切ってもらう。中島プロがバーディを決めた時は、本当にホッとしたものです。
 ゴルフはプロでもアマでも楽しく、マナーを守ってプレーしたいものです。

フィリップモリスチャンピオンシップ2000年度優勝の谷口徹選手とボランティア 
於 ABCゴルフ倶楽部 2000.10.29
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